導入実績
受注プロセス管理

キヤノン株式会社 様

月間約 100 件、
関連会社からのスポット受注管理を見える化

BIZ PLATFORM + Enterprise Imaging Platformで、
紙と人とシステムを含んだ業務プロセス管理を実現

キヤノン株式会社の映像事務機事業本部では、複合機やプリンターなどのオフィス機器およびそのアクセサリーを扱っています。11の地域販売会社のデマンド(需要)に合わせて、2000ほどの商品コードに及ぶ製品の供給計画を立案し生産・出荷を行っています。これ以外に個別に対応しなければならない案件も多く、これが業務負荷になっています。そのうちのひとつが、月間100件ほどある関連会社からのスポット受注でした。今回、このような業務課題を解決するため、基幹系・情報系システムとオフィス機器を連携できるSOAベースの開発プラットフォームであるキヤノンITソリューションズの「EnterpriseImagingPlatform」と、ノンプログラミングで業務システムのUI部分を開発できる業務プロセス管理ツールである株式会社クレオのBIZPLATFORMによる連携システムを導入。ヒト・紙・システムを有機的に結合させた、画期的な業務プロセス管理システムを実現しました。関係者の皆様に、詳しいお話を伺いました。

製品出荷のための作業時間が1件あたり約20%削減でき
納期確認からPDF作成を含めた、
依頼元への回答までの時間は約50%削減できました

システム化が難しい、 月間約100件の関連会社からのスポット受注

映像事務機生産統括センター 課長
長屋 雅佳 氏

キヤノン株式会社の映像事務機事業本部は、複合機やプリンターなどのオフィス機器およびそのアクセサリーを扱っています。この中で生産戦略の立案ならびにその関連業務を行っているのが映像事務機生産統括センターであり、今回の導入部署では製品の需要と供給を調整しています。キヤノンは、製造と販売が分離しており、マーケティング・販売業務は11の地域統括販売会社を中心に展開されています。そして、この販売会社のデマンド(需要)に合わせて2000ほどの商品コードに及ぶ製品の供給計画を立案し、生産・出荷を行っています。
「そのための業務はシステム化されているのですが、これ以外にもスポットで対応しなければならない場合も多く、これが業務負荷になっています」と語るのは、映像事務機生産統括センター課長の長屋雅佳氏です。
「そのうちの一つが、月間100件ほどある関連会社から開発・検討・評価用として必要なスポット受注でした」(長屋氏)
このようなスポット受注では、受注処理をする前の見積対応や納期の問い合わせ、価格の確認といった作業が必要になりますが、これまではすべて人手によって処理してきました。関連会社から問い合わせや見積依頼が入るたびに、メール、紙の伝票、電話など属人的な対応を行っており、進捗管理も担当者がExcelに入力して行っていました。
映像事務機生産統括センター水本浩子氏は「このような属人的な状況には、大きな課題が3つありました」と語ってくれました。具体的には、

1.作業のボリュームや進捗といった情報を関係者が把握・共有するのが難しい。
2.メールや電話、紙ベースで作業しているため、履歴や証跡が自動的に残せずきちんと管理できていなかった。
3.紙文書の保管、手書きの見積や納期回答書、スキャンによるPDFデータの作成といった紙文書を処理する手間や、同じデータを何回も入力するなど作業の無駄が発生していた。

といった点が、課題視されていました。
「これまで、このようなスポット的な受注管理のシステム化を避けていたのは、コストに見合わないためでした。メインの出荷管理と比較するとボリュームが少ないこともあり、費用対効果を考えるとシステム化に踏み切れませんでした。しかし、さらなる業務効率化のためには、こういった小ボリュームでありながら手間のかかる業務の改善に取り組む必要がありました。BIZPLATFORMを使いはじめて約5か月ですが、我々管理者サイドとしてもかなりの効果を実感しています」(長屋氏)

解決策は、BIZPLATFORMとEnterpriseImagingPlatformの連携ソリューション

このような課題の解決のためにキヤノンと一緒に取り組んだのが、キヤノンITソリューションズと株式会社クレオでした。
キヤノンITソリューションズは、複合機・プリンターなどのオフィス機器と基幹系・情報系システムを連携できるSOAベースの開発プラットフォーム「EnterpriseImaging Platform」を提供しており、紙を含んだ業務の効率化にはうってつけのパートナーでした。キヤノンITソリューションズ株式会社プロダクトソリューション事業本部EDIソリューション事業部開発課の福田直之氏が語ります。
「今回の機能要件の中で最も大きな要件は業務の標準化(属人化の解消)でした。これを限られた時間と予算の中で実現することを検討した結果、ノンプログラミングで業務システムのUI部分を開発できる業務プロセス管理ツールである株式会社クレオのBIZPLATFORMをEnterpriseImagingPlatformと連携させることにしました。出荷管理システムのバックエンドはEnterpriseImagingPlatformで構築し、フロントアプリケーションの基盤としてBIZPLATFORMを利用することで、ヒト・紙・システムを有機的に結合させた画期的な業務プロセス管理システムを実現できると考えたのです」(福田氏)

プロトタイプを柔軟かつ短期間で構築。お客様と高いレベルで認識を合致させる

映像事務機生産統括センター
水本 浩子 氏

開発フェーズでは大きく2つの効果を感じた、と福田氏は説明しました。
「効果を感じた1点目は、『要件定義の柔軟性』です。BIZPLATFORMを使うことで業務システムのUI部分のプロトタイプを効率よく作成できるので、要件定義の早期の段階でお客様との認識を高いレベルで合わせることができました」(福田氏)
一般的に業務システムを開発する時、作ろうとする業務システムの操作性や画面のイメージなどについて、お客様と認識を合わせるのは比較的難しい工程だと言われています。例えばExcelで画面イメージを作って、それをお客様にも確認していただいたとしても実際に画面を作って触っていただいた時に、
「ここはこういうふうじゃなかった」などお客様のイメージと完成画面がずれているといったケースが往々にしてあり、これが開発工程の手戻りになってしまいます。
「BIZPLATFORMの場合は、Webブラウザから管理画面で画面イメージや業務プロセスを設定できるので、柔軟かつ短期間でプロトタイプも構築できます。そのために、お客様との打ち合わせの早い段階からプロトタイプを見ていただいて、実際の操作性や画面レイアウトといったイメージを共有し高いレベルでご要件を合わせることができました。また、設計以降の工程において、変更が発生した場合でも、作業の手戻りを少なくできたのです」(福田氏)
このような業務システム構築に関わるのが初めてだったという水本氏も、開発作業について次のように評価しています。
「実際の画面イメージがプロトタイプで確認できたので、完成形を正確にイメージしながらチーム全員で意見を出し合いました。また、開発途中でも簡単な要望であれば、その場で修正が完了してしまうケースも何度かありました。そのため、これなら導入後も使いながらブラッシュアップできそうだ、という期待を皆で持てました」(水本氏)

EnterpriseImagingPlatformとの柔軟な連携で、属人的な作業を解消

開発フェーズで効果を感じた2点目はEnterpriseImagingPlatformとの柔軟な連携性だと、福田氏が説明してくれました。
「今回は株式会社クレオの開発部門にもご協力いただいたことで、EnterpriseImagingPlatformとの柔軟な連携を実現できました。これまで、BIZPLATFORMの機能だけでは実現できていなかった属人的な紙文書の処理を自動化することに成功しました。
この2つのプラットフォームが柔軟に連携できたことで、システム全体の開発期間の短縮が現実のものとなりました」(福田氏)
2つのプラットフォームの相乗効果はシステム化の工夫にも現れました。
「これまで属人的かつ手間のかかっていた作業のひとつに、商品担当者への納期確認がありました。具体的には、商品マスターを検索して、該当商品の担当者を特定し、その人宛てにメールや電話、紙などで納期確認を行っていました。今回のシステムでは、基幹システム側の商品マスターと連動することで、担当者が意識することなく自動的に納期回答者をセットできるようになりました。その後、回答された納期日の情報を二次利用してこれまで手書きで対応していた納期回答書もEnterpriseImagingPlatformの帳票生成機能やPDFの重ね合わせ機能でシステムから自動的に作成し回答することが可能になりました。
また、取引先から送られてきた見積依頼書をEnterpriseImagingPlatformのOCR処理機能を利用することによってBIZPLATFORMに自動的に入力データが仮置きされるので、データ入力の負荷も軽減することができました」(福田氏)

導入効果:納期確認から依頼元への回答時間が最大約50%削減

「定量的な導入効果としては、まずOCR処理によるデータの取り込みや納期確認の業務プロセスのシステム化などにより、出荷のための作業時間が1件あたり約20%削減できました。
特に、納期確認からPDF作成を含めた依頼元への回答までの時間は約50%削減できました。また、定性的な効果としては、業務の標準化が実現し、これまで属人的な業務のために管理の難しかった進捗状況の把握や負荷ボリューム、対応履歴などの情報が共有できるようになりました」(水本氏)
「使いはじめて約5か月ですが、我々管理者サイドとしても、かなりの効果を実感しています」と長屋氏が再び説明してくれました。
「私どもの作業では、関連会社からのスポット受注に限らず、イレギュラーな作業が多く、こうした業務は往々にして属人的な対応になりがちです。そのため、我々管理者からすると、誰が今一番忙しくて、誰の手が空いているかということを的確に把握しながら、業務を割り振ることにより負荷を平準化していくことが不可欠です。
今回のシステム化により、課員の業務負荷が定量的に見えるようになり、事前に誰かにヘルプを頼むといった調整がやりやすくなりました。
また、受発注のコンプライアンスの面でも、お客様からの注文とそれに対しての納期回答、その後の出荷実績などが、システムの中で一元管理できるということで、内部統制が強化されたと感じています」(長屋氏)

今後は、他のスポット業務への 横展開も期待

「すでにいくつか細かな要望も出しておりますが、今後もこうしたユーザーの声を反映しながら、製品のバージョンアップを実践していただければと思います。期待しています」(水本氏)
「今回導入したシステムは、私どもの業務範囲のごく一部です。手間がかかる割にメイン業務でないため、システム化に踏み切れない案件が他にもまだたくさんあります。こういった属人的な業務のプロセス改善をもっと横展開していければと思います。さらに私たちの部門にとどまらず、全事業・全社に展開できれば大きな効果が得られるでしょう」(長屋氏)

システムインテグレーションにおけるメリット
  • キヤノンITソリューションズ株式会社
    プロダクトソリューション事業本部
    EDIソリューション事業部 開発課
    福田 直之 氏

    キヤノンITソリューションズの福田氏は、BIZPLATFORMとEnterpriseImagingPlatformのメリットについて、システムインテグレータの立場で語ってくれました。
    「今回の出荷管理のようなスポット業務対応はニッチな領域なので、コストをかけてのシステム化は、これまでなかなかできませんでした。特に、紙を含んだ業務処理のシステム化は非常に手間がかかります。
    この状況を変えたのが、BIZPLATFORMとEnterpriseImagingPlatformの2つのプラットフォームによる連携でした。どちらもSOAベースで開発可能で、BPMとドキュメントマネジメントが融合したシステム構築が可能になりました。両方のプラットフォームを連携して導入しておけば、紙と人とシステムを含んだ業務プロセス管理の解決策をキヤノンITソリューションズとしても継続的に提案可能になると考えています。
    開発工数の面でも、大きなメリットを感じています。BIZPLATFORMは業務システムのフロントエンドの開発基盤として、画面やUIの開発工数とテスト工数をかなり削減できるはずです。EnterpriseImagingPlatformの方は面倒なドキュメント処理の開発工数とテスト工数をかなり削減できるはずです。システムによってまちまちになると思いますが、開発の生産性が30%から70%程度上がる、という感覚を持っています。お客様にも積極的にご利用いただいて、効果を感じていただいています。もちろん、業務改善に向けたお客様自身の意識の高さもありますが、その期待に応えるため、キヤノンITソリューションズと株式会社クレオは緊密に連携しています。その結果、一層の自信を持って、他のお客様にもお勧めできると考えています。今回の案件をきっかけに、株式会社クレオと一緒に、新しいソリューション領域に進出していきたいですね」(福田氏)

導入実績
多くの企業様に「BIZ PLATFORM」を導入いただいております